ドイツのエスペラント市、ヘルツベルク・アム・ハルツ (Herzberg am Herz) は有名ですが、ブラジルにあるエスペラントの家 『BONA ESPERO』をご存じでしょうか?
BONA ESPERO は、エスペラント語を教えている孤児院(児童養護施設)で、現在は、80歳になるウルスラさん夫婦が2人で運営している。子供は、僕が行ったときは、4人だけでしたが、今年2013年の2月までは30人ほどいたらしい。親を亡くしたり、虐待された子供たちが、裁判所から送られてくる。健康な家庭で育ってきていないので、問題も多く、それを基本的に2人で見ていたのだからびっくりする。ほかに調理員のおばさん・お姉さんが2人。彼女たちは元受刑者(?)で更生プログラムの一貫として無料で働いてくれている。ほかに、馬を管理したり雑用を手伝ってくれるボランティアのお兄さんが1人。食事はほぼ100%自給自足で、庭で育てている野菜や豊富に採れるフルーツを食べている。以前は鶏なども飼っていたそうなのだけど、人手がなく世話ができないのと、大蛇アナコンダが出たので、今は飼っていない。たまにジャガーも庭先に現れるという超田舎である。
時折のエスペランティストの寄付で建物の修理・増築をしたり、日用品その他の必需品を賄っている。
BONA ESPERO のあるアルト・パライソ (Alto Paraiso) という町までは、ブラジルの首都ブラジリアから長距離バスで北に6時間。そこから車で10分、鬱蒼としたサバンナの林を抜けた国立公園の中にぽつんと建っている。
大地は乾燥しているため、日差しはきついけれど日陰に入れば涼しく汗はかかない。
夜には星が爛々と輝き、屋根の上にかかる天の川に見とれてしまう。
町は標高1200m のところにあり、まさに高台 (Alto) にあるパライソ (Paraiso)=楽園だ。
私が来訪した2013年3月にいた子供は、11歳・10歳の男の子と10歳・8歳の姉弟だった。
こどもたちは、午前中、学校に登校し、お昼に帰ってくると、真っ先に庭のプールに飛び込む。
元気いっぱいで可愛らしいけど、我が強くけんかっ早いところも。
年長の男の子たちは両方、母が娼婦で父親は不明。
「お前の母ちゃんは娼婦だ!」「いや違う、それはお前の母ちゃんだろ!」と言い争いをしていた。
夏にはマンゴーの実がゴマンとなり、毎日50個ずつ食べても食べきれないそうだ。
そもそもマンゴーばっかり一日に50個も食べられない。
ほかにもいろいろなフルーツが採れるが、ブラジルの果物は濃厚で破格に美味しい。
食事は基本的に豆、コメ、野菜サラダで変化がないけれど、こどもたちはおやつ代わりによくオレンジをほおばっている。
BONA ESPERO の子供たちは普段ポルトガル語を使っているけれど、時節訪れる外国人とのコミュニケーション用にエスペラント語を習っている。
自己紹介など基本的な会話は十分できるので、ポルトガル語が話せない来訪者には嬉しい。
定期的に音楽イベントやブラジル式BBQ(シュハスコ) なども開かれているそうです。
BONA ESPERO にとってボランティアで滞在してくれる人は大歓迎。
日本人の初級者でも、基本的な会話ができるなら是非来てほしいと元気な老夫婦は言っています。
宿と食事を無料で提供していただく代わりに、庭の手入れを手伝ったり、こどもたちと遊んだりする。
滞在中にエスペラントも上達できて、一石何鳥と思う。
宿泊施設は充実していて、最大で100人近く収容できるらしい。
庭先では鳥が飛びまわり、ザメンホフ像を横切って、見知らぬ植物の原っぱを抜ければ、丘の谷間に滝が流れている。
最近ではブラジルの青年たちを招いて、ミーティング合宿が開かれたそう。
若者ならずともエスペランティストの集まりにはぴったりの場所だ。
ブラジルやエスペラントに興味のある方は是非訪れてみては?
その他、長期で庭を管理してくれるスタッフを募集しているそうです。
給料は、子供たちの笑顔とマンゴー!!
さらにBONA ESPERO について知りたい方は、Roman Dobrzyński著「BONA ESPERO ~idealo kaj realo~」がお薦め。
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