ちょっと前、関西エスペラント連盟(以下KLEG)の事務所を訪ねたときのこと。
お会いしたのは二人の大先輩。
二人は同い年で69歳。
一人は大阪の男の方(以下大阪さん)。
一人は京都の女の方(以下京都さん)。
お二人は若いときからの知り合いです。
そもそも、私は大阪さんに会いに、KLEGの事務所を訪れたのでした。
そこにちょうど、原稿の間違い探しのすり合わせに来ていた、京都のさんもいらっしゃったという状況。
わたしは京都さんには、何度かお世話になっていましたが、
大阪さんとは、ゆっくりお話したことがなかったので、その機会を設けたのでした。
KLEGに到着したのは午後2時頃。
着くなり、大阪の男の方は、仕事をおしまいにしようと言い、
私の椅子の向かいに席を移し、話を始めました。
するとすかさず、京都さんも横から私に話しかけてきました。
(京都さんはとても話好きなのです。)
すると、大阪さんは、(それが分かっていたかのように)
「ちょっと黙っといてくれんか」
と、語気を強めて言いました。ちょっとびっくりしました。
京都さんが話し出すと止まらなくなることを知ってはいましたが、
それにしても強い口調。
「私が話したいんや。」
はっきりと大阪さんは言いました。
京都さんはしぶしぶ黙りました。
それでも、京都さんは諦めません。
自分の話す機会を伺いながら、少しでも間が空くと、
それぞれの話題に関連した自分の話を聞かせてくれます。
しばらくすると大阪さんは、強引に話を元に戻します。
おしゃべりさんは休憩。
またちょと間が空くと、
すかさず話し出します。
強引に戻される。
間が開く。
しゃべり出す。
大阪さんはそのうち、「もう黙ってろ!」と堪忍袋を切らすのかとも思いましたが、
そうでもありませんでした。
しゃべりたい衝動を抑えながら、京都さんはメモをとっていました。
話したいことを覚えておくためです。
私と大阪さんの話題が移るたび、京都さんのペンが、走る走る。
そのメモたちは、すぐに花開くことになりました。
KLEGでの話が終わった後、私と京都さんは2人で、
京都さんの所属するエスペラントの例会に向かいました。
その道中、京都さんはメモを順々に追いながら、次から次へと話を紡ぎます。
私と大阪さんがしゃべっていた内容を、違う角度から、時に補足・蛇足を入れて再現しつつ、京都さんの口はとどまることを知りません。
私と大阪さんがしゃべっていた内容を、違う角度から、時に補足・蛇足を入れて再現しつつ、京都さんの口はとどまることを知りません。
エスペラントの歴史や出来事がどんどん紐解かれていきました。
京都さんは言いました。
「私と彼(大阪さん)とは、旧知の間柄なのよ。」
その言葉には、
「ケンカはするけれども、お互いはっきり、こころの内をさらけ出せる仲。」
という暗黙の了解が滲み出ていました。